住宅と「ニオイ」について

当社の事務所は宇治市の西部にあります。
最寄り駅では近鉄京都線小倉駅になりますが、外を歩いているとたまに製茶工場からお茶を煎る香りが漂っています。
私は昔からこの何とも言えない香ばしい匂いが好きで、その都度「お茶のまち宇治」にいることを実感します。


そうした中、先日仕事である家(空き家)に行きました。
玄関を入ると何とも臭い。カビやトイレや靴の臭いが混ざったような異臭がしました。
空いたばかりの部屋だったのでまだ生々しい生活臭が残っていたのでしょうか。
同じ「ニオイ」でも「臭い」はそのままでも「くさい」と読めるように嗅ぎたくない不快なにおいのことを指し、強い不快感をもたらす意味で使われます。
一方「匂い」は一般的に好まれるにおい、すなわち香りと同じ意味です。
不動産を購入又は賃貸物件に入居するお客様はほとんどの場合まず物件の内見をしますね。
物件に第一歩を踏み入れたとき、自分が住むことを想定し間取り・設備の状態・部屋の状態・採光などの他ににおいも大切な要素になると思います。
その時第一印象として室内が「匂った」か、「臭った」かの違いだと思います。
お客様はなかなか言葉に出しては仰いませんが、いくつかの物件をご覧になって
迷われたときなどはこのニオイも大切なポイントとなります。
そもそも人がそこで生活している以上、無臭で過ごすことは出来ません。
いい匂いにせよ不快な臭いにせよ必ず生活臭が出るものです。
又、自分の体臭がわからないのと同じで自宅の生活臭には気付かないことも多いようです。
生活臭の原因には料理で飛び散った油などが壁に付着して参加したもの、家族の体臭、
汗の染みこんだ衣類や布団、カーペットなどに染みついた汗、靴の臭い、ペット臭などいろんなものが混ざり合い空気中を蔓延して他の衣類や壁に付着し染みこんでしまいます。


家の中で生活臭がしやすい場所は概ね以下の5箇所と言われています。
①キッチン
調理臭・・・換気不良、食材調理、油などの飛散
生ゴミ臭・・においのある食材、水や食材の腐敗
排水口臭・・下水から発生するガス
②玄関
下駄箱臭・・靴や傘自体、靴や傘に繁殖するカビやバクテリア
③トイレ
排泄臭・・・排泄物、飛散物
④浴室・洗面所
カビ・バクテリア臭・・繁殖しているカビやバクテリア
排水口臭・・下水から発生するガス
⑤居室・寝室
ペット臭・・糞尿、分泌物、毛髪、ペット自体
収納物臭・・収納物自体、防虫剤、カビ
タバコ臭・・喫煙者、吸い殻、灰
エアコン臭・・エアコン内部に繁殖したカビ
家具臭・・・素材からの有機化合物発散
線香臭・・・仏壇、お香など


こうした生活臭の主な原因と対策は以下の通りです。
A. 細菌の繁殖によるニオイ  
カビやバクテリアがタンパク質・脂肪などを分解する際ににおいが発生
→水分や食物のカス、毛髪等をこまめに掃除する
→重曹、クエン酸、酢、エタノール、漂白剤

B. 調理や加熱によるニオイ
ニオイの粒子が浮遊し、物に付着しニオイが長引く
→こまめな換気により空気を入れ換える

C. 人工物によるニオイ
タバコ、芳香剤、プラスチック類から出るニオイ
→換気はもとより活性炭や炭、空気清浄機などでニオイを吸着させる

D. 存在自体からのニオイ
食品素材、果物、ペットフードなどそのもの自体が持つニオイ
→酸性のニオイには重曹、アルカリ性にはクエン酸、それ以外は活性炭など


ところで「臭気判定士」という資格があるのをご存じでしょうか?
公益社団法人におい・かおり環境協会が実施するもので、においを通して環境保全に貢献する唯一の国家資格です。
1996年の悪臭防止法の改正に伴い誕生した資格で、機械ではなくヒトの嗅覚を用いてにおいの濃さを数値化した「臭気指数」による的確な判定法が導入されています。
主に環境分析を行う測定機関や脱臭装置メーカー、環境マネジメントに取り組む企業の方々がこの資格を取得されるようです。

臭気指数ごとの例をだすと、
10→梅の花の香り
15→デパートの化粧品売り場
20→手持ちの花火をしている時、芳香剤を置いた個室トイレ内
25→火を付けた線香、醤油を入れたビーカーの上
30→ガソリンを給油中の給油口付近、タバコを吸っている室内
35→コーヒーの液面上
45→スライスしたにんにくを炒めているフライパンの上
などとなっています。


常に訪問者の多い家や、いつも整理整頓の出来た家ならともかく、
家族以外に出入りする人の少ない家ではとっさに人が来ると
慌てて片付ける方も多いのではないでしょうか?私は慌てるというか諦めますが。
片付けはすぐに出来てもニオイはそう簡単には取れません。
日頃からニオイを意識して通風や清潔に心掛けたいものですね。

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