電柱について

日本中至る所で見る電柱。実は日本は電柱大国だったのです。
全国にある電力と通信を合わせた電柱の数は平成30年度の国交省の調査では3,592万本で、毎年約8万本以上のペースで増えています。

海外の主な都市では戦前より電線を地中に埋める「無電柱化」が進んでおり、ロンドン、パリ、香港では100%、ベルリン、台北、シンガポールで90%以上、ソウル46%、ジャカルタ35%となっていますが、東京は7%、大阪5%しかありません。
東南アジアの国々と比べても大きく出遅れていることに正直驚きました。

日本にも戦前から地中化に向けての動きがありましたが、敗戦から速やかに復興するために「一時的に」という名目で電柱が立てられました。地中に埋設するよりも安いコストで早く通電出来るので、まずは電気を送り余裕が出来たら地中化することになりました。 しかし、日本はその後高度成長期に突入し電気や電話の需要が高まり次々に電柱を立てて対応しなければならなくなりました。

【電柱のもたらすデメリット】
①景観の悪化
せっかく観光名所などを訪れても、周囲に電柱があると視界を遮ったり、景観が台無しになります。

②防災
災害発生時に電柱が倒壊し停電や交通の妨げになります。
倒壊だけでも危険ですが、緊急車両や物流車両の往来が滞り二次災害が増大します。 近年は地震だけでなく、気候変動で台風や低気圧も巨大化の傾向にますので今後被害の拡大が考えられます。 又、空き巣の進入経路になったり、鳥のフン被害などもよくあります。

③交通安全
特に狭い道路では歩道や車道の有効幅が少なくなり、通行の安全性・快適性が損なわれます。
車いすや自転車の通行の妨げになったり、離合の際に危険が伴います。 現状、以上のような様々な問題があります。

【無電柱化の取り組み】
京都府も近年、災害の激甚化・頻発化、高齢者・身障者の増加、訪日外国人を始めとする観光需 要の増加などにより、「無電柱化の推進に関する法律」(無電柱化法)が平成 28 年に公布・施行され、国が策定する無電柱化推進計画を基本とし、世界遺産等の周辺における良好な景観形成 や区画整理などのまちづくりと合わせた良好な都市環境の形成のため、共同溝等の整備をはじ めとする無電柱化に取り組んできました。 京都府の計画は、府の管理道路において、優先順位をつけて計画的に推進することを目的に、無 電柱化に取り組んでいます。

【無電柱化の問題点】
電柱地中化には様々な問題点がありますが、まず最大の問題はコストです。
電柱1本あたり約7~8万円、運搬・設置に約30万円かかるそうですが、地中化した場合は 約3倍~10倍のコストがかかるそうです。 共同溝だけでなく、浅い位置に埋設したり、小型ボックス内に電線を入れたり、道路への直接埋 設、既存建物の軒下を利用など、低コスト手法も徐々に実用化されつつあります。 しかしその他にも、電線管理者との調整の複雑さ、トランスなどの地上機器の置き場の確保問題、 道路が狭く埋設物が多いなどの問題もあり、なかなか進まないのが実情です。

ただ、無電柱化が進むのは良いとして、もしも本当に電柱が無くなったら、スズメやカラスは一 体どこに止まるのか? 又、暴走した車を誰が止めるのか? など、個人的には別の意味で思い を巡らしてしまいます。

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